喫茶店の悪魔
その時初めてお母さんのことが憎く見えた。
お母さんはお父さんを愛してなかったんだ、とその時の私は思った。
あんなに楽しそうに過ごしていた日常は、すぐにでも壊されることを知った。あの家族は、偽物だったみたいだ。尚更私を苦しめた。
まだお父さんが死んじゃって心がついていけてないのに、すぐ再婚?心が追い付けないまま、気づいたら2人の弟がいた。
蒼と蓮という、可愛らしい2人の双子をお母さんは産んだ。
偽物のお父さんとお母さんは私を捨てたように、蒼と蓮を愛した。
本当に、心が追い付けない。
色んな気持ちが混ざりあっていく。
なんでお父さんは病気を隠してたの?なんでお母さん、再婚したの?なんで?お父さんのこと愛してなかったの?なんで新しい男見つけて…あの家族は偽物だった…?
幸せな日常は、すぐに壊せるんだね。
笑えないよ。私、笑えない。
幸せを感じても、どうせ壊れるんだ。
どうせ、幸せが来たら次は不幸が来るんだ。
バカみたいだ。
そのまま気づけば、中学3年の冬になっていた。受験生だった。