喫茶店の悪魔

その時初めてお母さんのことが憎く見えた。

お母さんはお父さんを愛してなかったんだ、とその時の私は思った。

あんなに楽しそうに過ごしていた日常は、すぐにでも壊されることを知った。あの家族は、偽物だったみたいだ。尚更私を苦しめた。


まだお父さんが死んじゃって心がついていけてないのに、すぐ再婚?心が追い付けないまま、気づいたら2人の弟がいた。


蒼と蓮という、可愛らしい2人の双子をお母さんは産んだ。


偽物のお父さんとお母さんは私を捨てたように、蒼と蓮を愛した。


本当に、心が追い付けない。


色んな気持ちが混ざりあっていく。


なんでお父さんは病気を隠してたの?なんでお母さん、再婚したの?なんで?お父さんのこと愛してなかったの?なんで新しい男見つけて…あの家族は偽物だった…?

幸せな日常は、すぐに壊せるんだね。


笑えないよ。私、笑えない。

幸せを感じても、どうせ壊れるんだ。

どうせ、幸せが来たら次は不幸が来るんだ。

バカみたいだ。


そのまま気づけば、中学3年の冬になっていた。受験生だった。

< 179 / 204 >

この作品をシェア

pagetop