喫茶店の悪魔

「……死んじゃいましたけど、私のお父さんにどこか似てます。」

「ん、俺が?」

「はい。地味に優しいとことか」


笑ったら可愛いらしい顔も、ほんと地味に優しいところも、なんか面白いところも。よくいじって笑ってくるところも。


「へぇー?嬉しいな」

「どうしてですか。」


どうして嬉しいのだろう。私の死んじゃったお父さんに、会ったこともないのに。


「澪はお父さんのこと、大好きだったんでしょ?」

「…好き、でしたけど?」


どうしてと聞いてるのに、なんでその質問なんだろう。よくわからない。


「なら、澪の好きな大切な人と似てるって言われたのは、嬉しいじゃん」

「…ありがとう、ございます。」

「ん、照てんの?それとも感涙してる?」

「え、感涙って使う人初めて見たんですけど」


天さんは小さく笑ってから、「あ、そーだ」と大きな声で立ち上がった。


「冷蔵庫の中身ほんと何もないから買い物行かないとだわ。行ってくる」


コップに入ったお茶を全てごくりと飲み干してから玄関に進んでいく。


「私も行きます。」

「えー澪が行ってもつまんないよ?」

「つまんないのが当たり前です。」


買い物なんてスーパーなんて、つまんないのが当たり前なのになに?私を、子供扱いしてる?


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