喫茶店の悪魔
また、あの優しくて綺麗な黒い目。口調や外見からは想像ができないほどの目をしてる。
その目線がノートに落ちている。ほんと、何書いてるんだろう。
何を書いてるのかは見えない。もっと目が良ければと自分の目を責めてしまう。
「なーに見てんの?」
横目で見てただけなのにバレてた。
「すみません。…何を書いているんですか。」
「んー、内緒。」
内緒て……尚更気になってしまう。
店員とお客の関係だし、容易に教えられることが出来ないのは当たり前なのだが。
書いていたペン先を自分の顎に当てる。
「眠れないの?」
「はい、眠れません。」
「そいえばバイトに電話しなくていいの?喫茶店のやつ。もう夕方の5時半だけど」
「あ、はい。もう電話しました。」
部屋を掃除している時に気がついて電話しておいた。店長が意外に「お大事にね」と優しい言葉をくれたことが嬉しかった。
「机の上に置いてあったゼリー、ありがとうございました。」
「……ん、なんのこと?」
え?だってあれ…置いてあった…
すると、思い出したように目線を上に向けた。