喫茶店の悪魔
「あー思い出した。ペットボトル置いてたのは澪にだけど、ゼリーは帰ったら食べようと置いといたやつだ。食べたんだな」
「えええ…!?すみません、すみませんでした……勝手に人のもの食べるとか。」
「全然いいよゼリーなんか。確かに、飲み物は置いといてお昼ごはんは置いてなかったわ。それ食べてて正解」
「すみません…ほんとに」
ああ…、何してんだろうな私。本当に迷惑ばかりをかけている気がする。
晩ごはんとかどうするんだろう。ご馳走になっちゃうのかな……
まだ雨の音がする。スマホで見た通り、止まずに降っているようだ。
雨は降ってて家までが遠い。まだ頭はクラクラして熱がある。それに、家に帰りたくないのだ。あの家に。
でも、やっぱり…
「夕飯とか迷惑だし、帰ります。」
「え?まだ熱下がってないじゃん。また倒れちゃうよ」
「…それでも、迷惑ですから」
「はぁ?バカ。そんなに無理するから倒れたんだろ。まだわかんないの?」
「…」
「夕飯はここで食べてったらいいよ。別になんにも迷惑じゃないし。まあ、別に澪が帰りたかったらいいけど」
いいのかな、でも迷惑じゃないか?
私達は店長とお客様の関係の、完全なる他人同士なのに…
でもまた倒れたりしたら、もっと迷惑かもしれない。
「すみません、お願いします」
「ん、全然大丈夫」
金髪さんに背を向けて目を瞑る。静かな静寂が流れる。