喫茶店の悪魔
「まー、決めるのは澪次第だな。一緒に生活とか、大人の男なんてまあ怖いだろうし」
男の人は、苦手だ。
昔のトラウマや嫌な印象でしかない男という異性。尚更この金髪さん。
お客様と店員の関係なのに急に夜を共にして四六時中一緒に過ごすことなんて、許されることなのか?
迷惑も沢山かけるだろう。
金髪さんでなかったら、私は即答で断っていた。でも、今は何故か、頭を悩ましている。
正直になってもいいのかな。
「………私、前は1人で、孤独に生きていこうって思っていました。」
ずっとずっとそう思って、バイトという仕事を何時間も働いた。その結果、無理をして倒れたのだ。
「でも、あなたが現れました。もう孤独になんてなりたくないと、思ってしまいました。」
「うん?」
「だから、私を居候させてほしいです。あなたが嫌なら即出ていきます。それに、私のことは助けてあげた店員って思ってくれてたらいいです。」
「じゃー、決まり」
「ほんとに、私なんか一緒にいてもいいんですか…?」
面白くもない、優しくもない、冷たい敬語しか使えないような奴でいいのだろうか。
「前、部屋綺麗に片付けてくれたし、なーんか晩ごはんとか作ってくれそうだし。俺にしちゃー楽だと思ったから」