星愛空~届かなかった手紙~
もうー…本当にやめてー…。
「別に華波の彼氏のこと侮辱してるワケじゃないよ。華波のこと侮辱してんの。分かる?!」
背後から腕を組んだ織香と
スカートの丈が少し長くなり、ゆる巻きの
真凛と申し訳なさそうに立ち尽くす瀬玲奈が
私のことをじっと見ていた。
「…汚くない……、HIVは汚くなんかない!!」
この世の中に苦しんでる人は沢山いるよ。
毎日、明日も生きたいッて思った人ー…
たくさんいるよ。
朝を下さいって願う人…たくさんいるよ。
「ねぇー…織香…もうやめよ~…
あたしがこんなこと言うのってほ、ほんと
おかしいけどー…でも、」
瀬玲奈が下を向いて震えながら言った。
ーーー瀬玲奈…………。
普段、セクシーで強気な瀬玲奈が、
今にも泣き出しそうな顔で震えている。
「んじゃ、瀬玲奈だけ
HIVとかいうやつうつしてもらいな~!!」
織香と真凛は私達をバカにするように行った。
「瀬玲奈ありがとう…。
もういいよ。行っておいで。」
私は瀬玲奈を置いていく二人の背中を指さした。
「華波ー…ごめんねー…
ごめんねッーーーーー…………!!!!!」
瀬玲奈は何度も後ろを振り返りながら
二人の後を追い走っていった。