星愛空~届かなかった手紙~
そして目の前に広がる街。
ーーーー懐かしい。
「懐かしい~~~
まだあそこのパン屋あったんだ!」
街は二年前と全く変わっていなかった。
匂い覚えのある空気。
通学によく来ていたバス停。
友達と寄り道した公園。
ほかほかのパンを買ったパン屋。
すべてが懐かしく感じた。
ーーーービュッ
気持ち風が髪をなびかせる。
私は周りを見るだけで
懐かしくてはしゃいでしまった。
「そうだッッ電話電話!!」
私は携帯電話を開いてお母さんに電話をかけた。
ーーープルルルルプルルルル
“もしもし沙浦ですけれども…”
“お母さんっ私だよ~“
“ああ、華波ね。どうしたの?お小遣いが欲しいってこと?それなら今月送ったでしょー“
“違うよお母さん。”
私は少し笑って言った。
なにも知らない
お母さんの声がとても可笑しかった。
“私ね、今、南バス停にいるの!!”
“へ?華波?”