星愛空~届かなかった手紙~




そして目の前に広がる街。

ーーーー懐かしい。

「懐かしい~~~
まだあそこのパン屋あったんだ!」

街は二年前と全く変わっていなかった。

匂い覚えのある空気。
通学によく来ていたバス停。
友達と寄り道した公園。
ほかほかのパンを買ったパン屋。

すべてが懐かしく感じた。

ーーーービュッ
気持ち風が髪をなびかせる。
私は周りを見るだけで
懐かしくてはしゃいでしまった。

「そうだッッ電話電話!!」

私は携帯電話を開いてお母さんに電話をかけた。


ーーープルルルルプルルルル

“もしもし沙浦ですけれども…”
“お母さんっ私だよ~“
“ああ、華波ね。どうしたの?お小遣いが欲しいってこと?それなら今月送ったでしょー“
“違うよお母さん。”

私は少し笑って言った。
なにも知らない
お母さんの声がとても可笑しかった。

“私ね、今、南バス停にいるの!!”
“へ?華波?”

< 325 / 418 >

この作品をシェア

pagetop