星愛空~届かなかった手紙~

しばらく考え事をしていると順番が来た。

ーーーガラガラ…………

「失礼します」
「えっと…発症や悪化はしてません。
ただ、最近、
よく泣いたり、走ったりしてない?」

先生は私に顔を近づけながら言った。

「………。」
泣いたりー…
時々スキップしたりしてるから
「してません」とは言えないー…。

「HIVは体の抵抗力が低下してるから、
激しい運動はしないこと。」
「はい!!」
発症してなくて良かったぁー…。

すこしホッと胸をなでおろした…。

「それにしてもあなたすごいわね」
「え?」
「自分にピッタリの薬があるから元気で…」

私が特殊なタイプということだろうか。

「でも今回発症してなくて良かったです」
私はそう答えた。
本当にまだ発症も悪化もしてなくて良かった。

「ここの病院HIV感染者の患者さんいるんだけどね、あう薬がなくてー…」

先生は顔を引きつって言った。



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