星愛空~届かなかった手紙~

「私はー…っ要君のー…」

また言葉につまってしまった。
要君の彼女でもない。
要君の家族でもない。

そんな私が
こんなことを言っていいのだろうか。

「彼はもう目を覚ますことはないのよ。
病気にかかって約10年経ってしまった。
だから発症が始まったの。
………発症を遅らせることはできるけど、
彼に合う薬はなくなったの。
免疫の働きが既に低下してしまっているー…。
だからもう彼は立ち上げることができないの。」

看護婦さんは少し悲しそうに言った。

患者さんが命の終わりをむかえるとき。

看護婦さんも悲しくなるのかな。

「……じゃあ要君はもうー…」

私はガラスのほうをじっと見つめて言った。

「この部屋で死を迎えるだけー…」

ーーーーーー死。ーーーーーーー





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