星愛空~届かなかった手紙~


みんな何を泣いてるの?

「どうしたんですか………??」

ー…ねぇー…本当はねー…
薄々ー気づいてたんだー…………。

「どうしたー…っんー…ですー…うっうっ」

なんで私まで泣いちゃうの?
要君はね、今寝てるだけなんだよー…?

ただ、
すやすやと寝てるだけ。

眠たくなっちゃったんだよー…要君は。
何も泣くことなんてないー…。

きっと私が呼んだら
笑って振り向いてくれるよ。

「要君ー…来たよ」

こっちむいてよ。
聞こえてるんでしょー…?

「ねぇ来たよっ~」

私はガラス越しに要君を呼ぶ。
もう少しー…
もう少しで私の声が届くよ。

あと少しー…。
あとすこしであの
白い布をとって笑ってくれるー…。

「要君っ」
私はガラスに両手をひっつけた。
この手で触れたいのにー…。
私達を邪魔する
なにかがあって触れることができない。

「要君。」

私、呼んでるんだよー…。
こんなにも要君のこと呼んでるんだよー…?

………こっちむいてよ…………!!

私がこんなに涙を流しても、
要君はもう振り向いてくれないのー…。

「ねぇっ……………」

私は再びガラスを叩いた。

寝たきりの
要君を見たあの日のことのようにーー…。

ーーーーバンバンバンッ

いくら叩いたら要君はこっちを向いてくれるの?
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