星愛空~届かなかった手紙~
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しばらくしてから私は看護婦さんに呼ばれた。
「ちょっといいかしら……」
「……あ、はい…………。」
「実はねー…
渡さなくちゃいけないものがあるのー…。」
看護婦さんの目は少し腫れていた。
世話をしていた患者さんがこの世から消えていってしまうことは看護婦さんにとっても悲しいことなのだろうか。
私は看護婦さんの後ろに続いて、歩いた。
そして看護婦さんは
白く四角い箱を私に手渡した。
「…これで全部よー…。」
「………これはー………」
私はすかさず聞き返した。
「彼からあなたへの手紙ー…。
途中で郵便局に届けなくなってー…。
でも届けてないこと彼には
言えないままずっとたまっていっててね……
そのことをあなたに言おうとたら話、最後まで聞かず病院を飛び出して行っちゃってね……」
私は看護婦さんから渡された箱を
両手に抱え、病院を出たー…。
重い頭を支えながら私はフラフラと
歩いていくー…。