Fortunate Link―ツキの守り手―
第5話:奪われたファーストキス
*
白銀の長い髪が風にたなびく。
その銀髪の女性は俺の手を引きながら前を行く。
俺はその女の人の白魚のような手をぎゅっと握りながら、必死にその人の後をついていた。
たまに躓きそうになると、彼女は厳しい声で俺を叱咤した。
『速く!逃げるのよ!』
(……逃げる…)
俺は疑問に思って、その人に問いかける。
『……なんで逃げなくちゃいけないの?』
するとその人は俺の方を振り返った。
その人の目は、不思議な光を放つ黄金色をしていた。
『――あなたが生きるためよ。
だから足を止めては駄目』
『生きるため…』
その言葉は不思議と心に響き、体が奮い立った。
『そうよ。
今は生きるために逃げるの。
逃げて、そして辿り着くべき場所に着いたら――』
冷たく白い手が、俺の手を優しく包むようにもう一度掴んだ。
『――あなたに戦い方を教えてあげる』
*