Fortunate Link―ツキの守り手―



「……夢、か……」


俺は額を押さえて、ベッドの上でむくりと起き上がった。


夢らしくない夢を見た気がする。

何というか、胸の奥がじんとして…遠い昔に感じたことのあるような、懐かしい感覚。

あれは俺が忘れてしまっている幼い頃の記憶なんだろうか。


「……わかんねーや」


布団から脱け出して、自分の部屋を出、一階へ降りる。

洗面台で顔を洗う。

タオルで顔を拭き、鏡に映る自分をふと見る。

寝ぐせだった髪、そして…、首には……痣。


「そういえばこっちは夢じゃなかった、か」


それは昨日、鎖で絞められ時の痣だった。

そっと指でそれに触れながら昨日のことを思い返す。

昨日、俺は――、白石さんからの一方的な招待状を受け取り、そしてご本人直々の迎えにより、なぜか一日だけの客船クルーズに付き合うはめになって。

そうして船の上で優雅な時間を過ごしていると、パーティー会場へ届けられたという犯行予告文を見せられ、その書かれていた場所を見つけ出して向かってみれば、そこでいきなり謎の人物に襲われ…。

そして爆弾が爆発し…。


その爆発の直後は周囲も驚いたようにざわついていたが、まるで波が引くようにざわめきも消えていった。

そして、船は何事も無かったかのように港に着き、客達も何事も無かったかのように下船していった。

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