Fortunate Link―ツキの守り手―
「……何だったんだろな。まったく…」
思わず溜め息を吐く。
あの後、パーティー終わりの白石さんと落ち会い、あの犯行予告文に書かれていた場所と何が起こったのかを説明した。
ところが…。
それを聞いた白石さんが、「犯行予告って何のこと?」と言い出す始末。
何度同じことを説明しても、彼女は同じ反応を返してきた。
白石さんのことだから、と何度も確かめたが、彼女がとぼけているようには見えなかった。
こうなってくるともう、俺達二人だけがたちの悪い夢を見ていただけなんじゃないだろうか、と思えてくる。
「って、んなわけないだろ」
自らに突っ込む。
そう。そんなわけがないのだ。
犯行予告は本物で、それをよこしてきた相手は俺達を待ち構え、襲ってきた。
あの黒ずくめの相手は何か目的があって、俺達に近づいて来た筈なのだ。
そしてその目的が何なのが、あの相手の正体が何なのかを俺は知らなければならない…。
「しっかりしろよ」
ばちんと両頬を叩いて自分を奮い立たせる。
よし、と気合を入れ、リビングへ向かう。
しかし、なぜかそこにいつも居る筈の母さんの姿がなかった。
「……あれ?」
室内を見回す。
部屋の隅に何かあった。
段ボール箱と。
……紙?
むんずとそれを引っ掴んだ。