Fortunate Link―ツキの守り手―
「誰だ?こんな朝っぱらから」
首を捻る。
――ピンポーン。
もう一度鳴る。
「はいはい」
面倒臭く思いながらも玄関へ向かう。
――ピンポンピポピポピポピンポーン
何度もインターホンを掻き鳴らす相手。
そういうせっかちな知り合いに心当たりはある。
ガチャ。
「よっ」
「うるせー!!」と怒鳴ってやりたい気持ちをぐっとこらえ、俺は平静を装って挨拶した。
そうしなければならない理由が今、目の前のこの相手にあった。
「おせーよ、出てくんの」
朝から切れ長の三白眼で睨んでくる、おっかないこの幼馴染の性格をよくよく知ってるからである。
「お前の方こそ、迎えに来るにしては早くないか」
この幼馴染――月村明月は、とあることがあってから毎朝俺を迎えに来るようになり、最近では一緒に登校するのがすっかり日常となりつつある。
何があったのか、ということについては、この話の冒頭30ページほど読み返して復習してくれ。
「――お前の母親に頼まれたんだよ。
しばらく家を留守にするから、お前の面倒をよろしくってな」
アカツキはそう答えた。