Fortunate Link―ツキの守り手―


俺は先ほどの手紙を思い出した。


「……あんの馬鹿親…」


俺には手紙で、なんでアカツキにはちゃっかりと言い置きしてるんだ…。

するといきなりアカツキに頭をはたかれた。


「親に向かって馬鹿って言うな」


「……でも」


「優しくて良い親御さんじゃねぇか」


「…お前に対してそうであっても俺に対してはそうじゃないんだよ!」


昔からそうだ。

アカツキには極度に優しく接するが、俺には散々厳しく、かと思えばいきなり放置プレーにされたりする。


「いいじゃねーか。それはそれで」


「………」


何か言い返そうとして、やめた。

ふと気付いた。
アカツキは幼い頃に両親を失くしており、肉親も近くには居ない。


「そういえば私、朝飯食ってないんだよな」


アカツキは特に気にしてないふうにそう呟いた。


「……バナナなら大量にあるぞ」


その言葉に惹かれたとは思えないが、アカツキは俺の家の中へと上がって来た。

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