Fortunate Link―ツキの守り手―
*
「よいしょ、と」
学校へ行く支度を終えた俺は竹刀袋を担ぎ、立ち上がる。
「重そうだな」
中身が何であるか知っているアカツキがそれを見て言ってくる。
「別にそうでもねぇよ…」
もう片方の手で鞄を担ごうとして、
「……って、重っ!!」
思いのほかの重さに驚く。
「なんか入れたっけ?」
何かがおかしいと思った俺はいったん鞄を下ろして、中身を開けてみる。
「うわっ」
鞄の中に黄色いバナナの束がたんまりと入っていた。
「なんじゃこりゃあ」
「お前、金ないって言ってたから昼飯用にと思って詰めてやったぞ」
「そりゃどうも親切に……。
……じゃねぇよ!こんなに食えるか!!」
「贅沢言うな。どれも食べ頃そうだし早く食わねーと全部腐るぞ」
「………」
俺は黙って鞄を閉じた。
誰かエチレンガスと逆効果のあるガスを開発してくれないかな。
そうして俺は重い荷物を背負って家を出た。