Fortunate Link―ツキの守り手―




「よいしょ、と」

学校へ行く支度を終えた俺は竹刀袋を担ぎ、立ち上がる。


「重そうだな」

中身が何であるか知っているアカツキがそれを見て言ってくる。


「別にそうでもねぇよ…」

もう片方の手で鞄を担ごうとして、

「……って、重っ!!」

思いのほかの重さに驚く。

「なんか入れたっけ?」

何かがおかしいと思った俺はいったん鞄を下ろして、中身を開けてみる。

「うわっ」

鞄の中に黄色いバナナの束がたんまりと入っていた。

「なんじゃこりゃあ」

「お前、金ないって言ってたから昼飯用にと思って詰めてやったぞ」

「そりゃどうも親切に……。
……じゃねぇよ!こんなに食えるか!!」

「贅沢言うな。どれも食べ頃そうだし早く食わねーと全部腐るぞ」

「………」

俺は黙って鞄を閉じた。
誰かエチレンガスと逆効果のあるガスを開発してくれないかな。

そうして俺は重い荷物を背負って家を出た。


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