Fortunate Link―ツキの守り手―
「そういえば昨日のことだけど」
いつもの通学路を歩きながら俺はアカツキへ話しかけた。
「新聞にも載ってなければニュースにも出てない感じだし、あの海上での爆発は完全になかったことにされていると考えた方が良さそうだな」
「そうだな。
胸糞悪いが、そういうことにされているみてぇだな」
アカツキも腹立たしげに頷く。
だが、俺の頭にはもう一つの可能性も浮かんでいた。
あの襲ってきた相手の能力には特異なものがあった。
それは催眠や暗示などで人を操ると言う類の能力だと思われる。
もしかしてその能力を使って、実際は起こってもいない爆発を俺達に見せていただけなのかもしれない。
まぁどちらにせよ、根拠があるわけではない。
ただの推測だ。
あと、もう一つ気になっていることがある。
それは船内を探していた時、偶然入ってしまった部屋で、白石さんのお父さんと話していたあの二人組の男。
アカツキの話をしていたし、こちらについても調べた方が良さそうだ。
そんなことをつらつら考えていると、アカツキが声をかけてきた。
「…なぁ。
白石をもっと叩いてみたほうは良くないか?
絶対怪しいだろ、あいつ」
「いや、叩く必要ないだろ。
白石さんは完全にシロだろ」
するとアカツキは何やら気に入らない様子で俺の方を見た。
「なんでそう思う?」
「だって白石さんが嘘をついているふうには見えなかったし」
するとアカツキはしばし俺の顔を見た後、ふいっと顔をそらせた。