Fortunate Link―ツキの守り手―
「懲りねぇ奴だな。
また騙されて酷い目に遭っても知らねぇからな」
「おっ。
もしかして心配してくれてんの?」
「誰が心配するか。勝手に騙されて泣いてろと言ってるんだ」
アカツキが不機嫌全開で言い捨てる。
「…ははー。これはこれはお二人さん」
背後から聞き覚えのある声。
「朝から口喧嘩しながら一緒に登校とは仲が良ろしいことで」
ぽんと俺達の肩を叩き、その間からにゅっと顔を出すのは俺と同じクラスのクラスメイト、こと高畑聡という名のお気楽馬鹿男。
「ずっと後ろから見てたんだが、あまりに良い雰囲気だったもんでいつ声を掛けようか迷っ…いででででっ!」
アカツキの肩に置いたサトシの手がすかさず捻りあげられていた。
見事に関節を決められている。ご愁傷様。
「てめぇ、そのコンタクトの度合ってねぇぞ。
さっさと買い替えろ」
「え?コンタクトはつい一週間前に買い換えたばかり……いえ早急に買い換えに行きますんで、お願いですから腕を離して下さい、まじで」
涙声で懇願するサトシ。
アカツキはふんと鼻を鳴らし、腕を離した。
その魔の手から逃れたサトシは俺の横へと隠れ、こそりと耳打ちしてくる。
「なんかさらに暴力がパワーアップしてないか?さては何かあったか?」
「別に何もないと思うけど…」
確かに急に機嫌が悪くなったような気もするが、説明するのも面倒なのでそう答えておいた。