Fortunate Link―ツキの守り手―






『月村明月。
彼女もいずれは手に入れるつもりですが、まずはあなたの中に眠る力を目覚めさせてからです』


休み時間。
教室の席で窓の外をぼーっと眺めながら、昨日のあの黒ずくめの女の言葉を思い返していた。

(……目的はアカツキだけじゃないってことか…)

しかも俺の中の眠る力……って。

「……何だよ、それ」

自分のことを言われている筈なのに、心当たりがない。

「…おやおや。
難しい顔しちゃってどうしたの?シュン」

上から声。

気付けば机の隣の窓の窓枠に白石さんが腰かけてこちらを向いていた。

「何で違うクラスの白石さんがここに居んの?
そしてなぜに俺の名前を呼び捨て?」

「シュンに会いたくて来ただけだよ。
それとシュンって呼び捨てにしたいから呼んでるだけだし」

「…さいですか」

お嬢様には何を言っても無駄な気がするので、とりあえず流しておく。


「で、どうしたの?シュン。
鞄がパンパンだよ。しかもすごい量のバナナ」

白石さんが机に掛けてある俺の鞄を勝手に開けながら言う。


「人の鞄を勝手に開けるな。
んでもってそれは俺の昼御飯だ」


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