Fortunate Link―ツキの守り手―
「えー。
こんなに食べるの?!」
「今、これしか食糧が無いからな。
しかも家にはまだまだ腐るほど残ってる」
ていうか実際にほとんど全部熟してて腐りそうなんだが。
「他のものを買えばいいのに」
「そんな金があったら、とっくにそうしてるよ」
「……へぇ。お金ないの?」
白石さんは興味津々に聞いてくる。
「…まぁ」
俺は憮然としながらも頷いた。
「ふぅん。大変ね。
だったら、おすすめの馬券があるんだけど買わない?」
「だーかーらー、んなのにつぎ込むようなお金も無いの!」
あったとしてもそんなことに使うもんか。
いっそロトシックスでも買いに行くわい。大安吉日に。
「じゃあ、その大量のバナナ、私が買い取ってあげる」
白石さんはそう言うとスカートの中をごそごそし始めた。
…ていうか、どこに手を入れてるんだ。
「はい。
これでどうかしら?」
そう言ってスカートの中から取り出したのは、諭吉さんの描かれた札束だった。
「どうかしら?じゃねーよ。
何だ?その恐ろしい額の大金!!」
どう見ても女子高生が手にしていい額じゃない。
「たかがこれぐらいのお金で驚きすぎだよ、シュン」
白石さんは事も無げにそう言った。