Fortunate Link―ツキの守り手―
すると、コート外から白石さんが叫んできた。
「シュン!頑張ってね!
この勝敗を賭けて、クラス内でトトカルチョをやってるから」
やけに深入りしてるなと思ったら、目的はそっちか。
「それで、あんたはどっちに賭けてんだよ?」
「勿論、シュンの相手チームの方よ」
「………」
堪忍袋の緒どころか、堪忍袋自体が破裂しそうな勢いなんですが。
しかし悔しいことに、おそらくは白石さんの予想は正しい。
未来視の能力は無いが、こればかりは分かる。
間違いなく俺はアカツキに殺(や)られる。餌食になって果てる。
「――会長同士のジャンケンの結果、先攻は野鳥ウォッチングチームからでーす」
その声とともに試合開始を告げるホイッスルの音が響き渡った。
そして始まってからいきなり、前後左右からボールが飛び交った。
避けて避けて避けまくる。
やはりボール3つは多すぎる。
常に周囲に気を払ってなくちゃいけない。
一瞬たりとも気を抜けない。
こりゃあ、想像以上に熾烈な感じだ。
しかしヌンチャク何たらという奴達は少しも臆しない。
飛んでくるボールに向かって
「アタァァァァッ!!」
甲高い掛け声を上げながら、ヌンチャクを振るう。
…え?マジ?
ボールを返すほどの高度な技術を持っているということは、それなりに達人の域なのでは?
そんな期待を込めて見ていると…、
――スカッ…。
見事に空振り、振るったヌンチャクの棒を自分の顔面にぶつけて倒れ伏した。