Fortunate Link―ツキの守り手―


「おいっ!何してんだ!」

その信じられないほどの見事な自滅っぷりに、突っ込まずにはいられなかった。

「何のこれしき!戦いはまだまだこれから!」

そう言って立ち上がった奴の鼻の穴からはダバダーと止め処なく血が流れている。

「ムリすんなっ!!」


うわー!大丈夫かこいつら。

スポ根漫画の読みすぎなんじゃないのか。


その後も、

「ワタァァァァァッ!!」

空振り。

「チェァァァァァ!!」

当てる前に飛んできたボールにより撃沈。

「アチョォォォッ!!」

空振って自滅。

「キェェェェェィ!!」

誤って近くの味方を撃墜。


何も反撃しないうちに、どんどん人数だけが減っていく。

味方ながらこっ恥ずかしすぎる。

っていうか、誰か止めてやってくれ。

こいつらの仲間だと思われたくないんですけど。


「――お前らいい加減にしろ!」


他人の行動如何については我ながら寛容なつもりだが、
さすがにこれには俺もキレた。

それにこれ以上無駄に犠牲を増やし続ける訳にはいかない。


「夢見てんな!目を覚ませ!
お前らは一生掛かってもブルースリーにはなれねぇ!」


あれは伝説なんだ。レジェンドだ。届くはずない。


しかし時は既に遅し。

いつの間にかヌンチャク愛好家チームは俺一人だけになっていた。

< 131 / 573 >

この作品をシェア

pagetop