Fortunate Link―ツキの守り手―


「ありゃっ」

やっちまった。

すんません会長さん。後で何度でも謝りますんで。


「…くくくくっ」

急に黒く笑い始めるアカツキ。

それを見て、ぞわわわ…と全身の肌が粟立った。

やばい。核ボタンを押してしまったかもしれぬ。


「……やってくれるじゃねぇか。シュン」

どす黒い魔闘気を纏わせ、アカツキは言う。

どうやら奴の闘争心にも火を点けてしまったらしかった。


そして、そこからアカツキによる猛攻が始まった。


「――死ねっ!!」

「……ムリ!!」

「じっとしてろ!」

「だからムリだって!!」


莫大な威力のこもったボールが体のすれすれを掠めていく。

しかし、主にアカツキがいる前方だけに注意を向けていればいい。

コートの外から飛んでくるボールはどれもなよっちい威力しかない。

それらは受け取め、相手チームのコートへとガンガン投げていく。

アカツキ以外は全員動きが鈍く、狙いやすい的だ。


「シュン、かっこいい~!」

白石さんの黄色い声援が聞こえてくるが、取りあえずは無視。

この災厄の元凶に言われても少しも嬉しくない。


「…ちょこまかすんな!」

怒鳴りながらアカツキが力任せに投げてくる。

弾丸のように迫るボール。

うひ~っ。何とか横へ飛んで避ける。


それでも孤軍奮闘でひたすら逃げ回りながら攻めた。

気づくと相手チームの数も減っており、アカツキを合わせても3人になっていた。


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