Fortunate Link―ツキの守り手―


アカツキは少し肩で息をし始めた。

「てめぇ、そういえば昔っから逃げ足だけは速かったな」

苦々しげに睨みながら言ってくる。

「……なぁ、アカツキ」

俺も息を整えながら、アカツキへ声をかけた。

「なんかお前、怒ってんのか?」

「は?!」

「…なんとなく…俺に対して怒ってるような感じがするんだけど…」

するとアカツキはボールを持ったままピクリと動きを止めた。

「……そう言うお前は何も心当たりはないのか?」

ぼそりと問い掛けてくる。

「え?」

俺は少し面喰った。

つまりは俺のせいで怒っていると言うのか…。

「……えっと…正直…心当たりない、です…」

その視線に怯えつつ、そう答えた。

「……そうか…」

アカツキは俯き、呟いた。

な、なんだろう。物凄く地雷を踏んでしまった感がある…。

するとしばらくの沈黙の後、アカツキは顔を上げ、ギッと俺の方を睨んできた。

「――やはりお前は一度死ね!」

「……えぇっ?!」

いやいや一度でも死んでしまったらおしまいでは…。

と突っ込む前に、アカツキがダダダッとボールを持ちながら助走をつけていた。

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