Fortunate Link―ツキの守り手―


「俊(シュン)もこう言ってることだし、中に入らないか?」

どうやら俺の父らしい人が、庭に立ったままの冴月へと声を掛けた。

「いえ。私は…」

それでも首を振る冴月に、父は俺の方を見下ろし、

「すいか、大勢で食べたほうが美味しいよな?」

「うん!!」

父の問い掛けに弾んだ声で頷く俺。
だけど、見上げた父の顔はなぜかおぼろげではっきりとしない。


冴月は困ったように眉根を寄せた。

「ですが…蘇芳様。見張りは…」

「よいのだ。
それより、お前のその白く透き通った素肌が日に焼けてしまうことの方が私にとっては一大事だ」

「………」

冴月は金色の瞳を揺らめかせた。

「蘇芳様がそうおっしゃられるなら……失礼」

そう一礼し、縁側から上がってくる。


俺はふと彼女のその横顔を見て、気付いた。

白かった筈の肌が、ほんのりと朱に染まっている。

それは真夏の熱気のせいだったのか、そうでなかったのか、幼い俺には分からなかった。




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