Fortunate Link―ツキの守り手―
俺は固まった。
一つ布団の下で保健の先生(見た目は女子高生。年齢不詳)と二人きり。
近い。近すぎだ。
さらには艶かしすぎる。
甘美ないい匂いが漂ってきて、脳を侵そうとしてくる。
うわー。理性が保てねー!
早く離れなければ!
背中にスプリングが付いてるかのごとく、ガバッと跳ね起きた。
「……つッ」
途端に頭蓋に痛みが走った。
「あぁ~ダメですよぅ。急に起きちゃぁ」
のんびりとした口調で云う保健医。
痛みのあった辺りをさすると、瘤のようなものに触れた。
(…あぁ。そうか。そういえばよく分からんドッチボール対決に駆り出されて、アカツキにボールをぶつけられて…)
そこから全てを思い出した。
その時、ベッドを間仕切りしてるカーテンが勢いよく開いた。
「……おいこら。
人がトイレに行ってる間に何やってんだ。てめぇ」
ドスの利いた声。
その声が誰のものであるかは顔を見なくても分かった。
俺の頭にたんこぶを作ってくれたご本人様である。
「おや、月村さん。
随分とトイレ長かったですねぇ。…さては痔ろうですか」
「んなわけねぇだろ!
というかさっさとシュンから離れろ!」
アカツキはいつにも増した迫力で怒鳴った。