Fortunate Link―ツキの守り手―


「うふふ。
ホント月村さんって反応が分かりやすくて可愛いですねー」

そう言いながらベッドから起き上がり、やっと離れていった。

「では、あらためて…。
お久しぶりです!
私、日暮夕月(ヒグラシユヅキ)です!
その様子だとちゃんと覚えてくれていたようで幸甚の至りです」

「読者の八割方は忘れていたと思うがな…」

「そ、そんな哀しい現実を突きつけないでくださいよぅ」

「…てめえ、何でここに居る?」

夕月さんとやらの言葉を遮り、アカツキは剣呑な眼差しで問う。

「だから私、保健医なんですって。前にも言いましたよね?」

「私が言いたいのは一刻一秒も早く私らの視界から失せろってことだ」

「そんな怖い目で取りつく島も無いことを言わないくださいよぅ」

アカツキの視線に怯えたように身を縮ませる。

「…確かに私はその……第一話でいきなりのっけから保健室で、鋭利な武器を投げつけたり刃物を振り回したりしてあなた方を襲いましたけど、今は全然そんなつもりはないんで大丈夫です!信じて下さい!」

「…んなこと言われて信じるのは、救いようのないドバカか救いようのないドアホだけだ!」

アカツキが吠える。

これにはアカツキに激しく同感だ。


「以前の暴挙については今ここで心からお詫び申し上げます」

俺達の前でパンと両手を合わせ深々と頭を下げる。

「謝って済む問題だと思ってんのか」

「勿論それだけで済むとは思っていません。
お詫びの気持ちを込めて、これを差し上げます!」

保健医の日暮夕月さんとやらは、白衣の中をごそごそとまさぐった。

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