Fortunate Link―ツキの守り手―


「てれれれってて~♪」

四次元ポケットからアイテムを取り出す時の効果音に乗せて、白衣の懐から取りだしたのは――、

「うわ」

それはまるで手品のようだった。
懐から出した彼女の手の甲にちょこんと乗っていたのは――、

「……鳥?」

何と動物だった。
黒く小さな鳥で、嘴はオレンジ色、眼の下から後頭部にかけて黄色い。

「イエス!
九官鳥で、名前は九兵衛というんです。私の相棒なんですよ」

そう言ってその九官鳥を肩に乗せ、指で嘴をツンツンと触っている。

「このコすごくお利口さんなんですよ。
ほら、九ちゃん。二人にご挨拶して」

肩の九官鳥にそう声を掛けると、その目をきょろりとさせ、こちらを向いた。
人生で初めて鳥と目が合って、ちょっとドキリとした。


「……」

俺達をじぃっと凝視してくる。
なんだこの沈黙…。

「……あの…」

「ハジメマシテ。アホ死ネカスバーカ!」

いきなり九官鳥が甲高い声を室内に響かせた。

「…うわ喋った」

「…何だこの鳥!!」

「ミソカスバーカ!バーカ!死ネ!」

尚も暴言を吐いてくる。

「うふ。とっても可愛いでしょう。
私からのお詫びの気持ちを込めて、このコを月村さんに差し上げます」

「いらねぇよ!!」

アカツキが即答した。

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