Fortunate Link―ツキの守り手―
すると長い髪の少女は、ふ、と微笑んだ。
「…なんで死んだはずの私がここに居るのか、って?」
星羅へ問いかけながら、ゆっくりと歩み寄る。
「馬鹿ね。私が何も言わずにあなたの前から消えるわけないじゃない」
「…お…お姉ちゃん…」
その優しい笑顔を見つめながらも、星羅の表情には怯えが浮かんでいた。
「私はあなたとは違うの」
そっと星羅の耳元にその顔を寄せる。
「あなたのように、私を置いて、水波家から逃げたりしない…」
「………」
星羅は眼を見開いたまま、よろりと後ずさった。
そんな星羅に対し、長い髪の少女は手でピストルの形を造り、星羅に向けた。
「捕まえた」
そう言って無邪気に笑う。
「――もう逃げさせはしないわ。星羅」
星羅は動けない。
逃げたいと思うのに、体が自分の思う通りに動かない。
そして、目の前の少女から目をそらせないまま、意識がどこか遠くに遠ざかっていった。
☆::::第8話へ続く:::::☆