Fortunate Link―ツキの守り手―


すると長い髪の少女は、ふ、と微笑んだ。

「…なんで死んだはずの私がここに居るのか、って?」

星羅へ問いかけながら、ゆっくりと歩み寄る。

「馬鹿ね。私が何も言わずにあなたの前から消えるわけないじゃない」

「…お…お姉ちゃん…」

その優しい笑顔を見つめながらも、星羅の表情には怯えが浮かんでいた。

「私はあなたとは違うの」

そっと星羅の耳元にその顔を寄せる。


「あなたのように、私を置いて、水波家から逃げたりしない…」


「………」


星羅は眼を見開いたまま、よろりと後ずさった。

そんな星羅に対し、長い髪の少女は手でピストルの形を造り、星羅に向けた。


「捕まえた」

そう言って無邪気に笑う。


「――もう逃げさせはしないわ。星羅」


星羅は動けない。

逃げたいと思うのに、体が自分の思う通りに動かない。

そして、目の前の少女から目をそらせないまま、意識がどこか遠くに遠ざかっていった。



☆::::第8話へ続く:::::☆


< 188 / 573 >

この作品をシェア

pagetop