Fortunate Link―ツキの守り手―
「……って、なんでアカツキがここに居るんだ?」
すると、アカツキはすっと指に掛けた鍵を見せてきた。
「この家の合鍵」
「…なんでお前が持っている?」
「ちょっと前にお前の母さんから渡されたから」
「…………」
わなわなと震えかける手をなんとか抑える。
いい加減、自分の親の身勝手さには慣れなければいけないのかもしれない。
いちいち反応していては、いつかきっともたなくなる日が来る。
「いくら鍵渡されたからって勝手に上がりこむなよな。
せめてインターホンぐらい押してくれ」
「この家の主の許可を貰ってるんだから、お前の許可なんぞ必要ない」
「………」
悔しいが理屈は通っているので反論できない。
俺は諦めて、テレビをつけた。
「ん~~!!」
バナナを口に突っ込んだまま叫んだ。
「どうした?」
アカツキが眉を寄せて訊いてくる。
俺はごくりとバナナを飲み下し、
「うわ…。いて座が最下位だ」
テレビの画面には今日の運勢ランキング。
「んな事気にしてんじゃねぇよ。女かてめぇは」
胡坐をかいて、床に新聞を広げながら顔を顰めるアカツキ。
お前はオッサンかと言い返したい。
「――派手な行動は慎みましょう。ラッキーアイテムはオレンジっぽいもの」
…派手を慎めと言っておきながらオレンジ?
矛盾の孕んだ文章だが、気にしてしまうのは人の性(さが)か。
「なぁ。お前、オレンジっぽいもん持ってねぇ?」
「ねぇよ、馬鹿」
機嫌が悪いのか、いつものことか、簡単に一蹴された。