Fortunate Link―ツキの守り手―
身支度を整えると、アカツキと揃って家を出た。
気づけばいつの間にか、アカツキの肩には、日暮夕月とかいうあのふざけた保険医からもらった九官鳥――九兵衛が静かに乗っていた。
なんだかまるでマフラーか帽子かのように馴染んでいて、そこにあっても何ら違和感がない。
俺達以外には見えないようだが、外に出るときはいつもアカツキの傍に居て、真面目にアカツキの見守りに徹しているようだ。
口を開けば最悪なのだが、こうしていると本当に忠実な動物に見える。
「なぁ、アカツキ」
ふと思い出して、俺から声をかけた。
「そういえば昨日、皆既月食だったな」
「……ふぅん」
「メールしたろ」
「寝てた」
素っ気なく答えてくる。
「寝るのはやくね?」
「疲れてたから」
そう答えるアカツキは確かにどことなく疲れた顔をしていた。
俺はアカツキの顔を覗き込むようにして、少し顔を近づけた。
「……何だよ?」
たじろぐアカツキ。
「ほんとにちゃんと寝たのか?」
よく見ると両目の下に深いクマができていたので、心配になって訊いた。
「………」
アカツキは黙りこんでしまった。
どうしたことか。
いつもテンションは大体こんなもんだが、しかしいつもとははっきり様子が違う気がする。
なぜだか無性に不安にさせられる。
「……なぁ、アカツキ」
何も言わないアカツキに堪らず声をかけた。
「その…なんかあったら、すぐに俺に言えよな」
気づいたらそう口走っていた。