Fortunate Link―ツキの守り手―
そんなことを願いながら、サトシが何だかんだと傍で喋っているうちに、朝のSHRの始まる時間になった。
雑談はまだ消えないが、皆それぞれ自分の席へと着いていく。
チャイムの音が鳴り終わるとともに、ガラッと教室の戸が開く。
くたびれたシャツを着た担任の教師が入ってくる。
俺は肘を突きながら何となくそちらを見た。
今日もどうってことない日常の繰り返し…
そう思いながら。
出欠をとって、今日一日の連絡をして教室を出て行く。
――と
その一連のその行動をとる前に担任がまず口を開いた。
「あー。いきなりだけど、このクラスに今日から編入生が入るから」
にわかに室内がざわつき出す。
そりゃそうだ。
編入生とか転校生が来る場合は噂が先に先行すると相場が決まっている。
なのに事前にそんな噂など微塵もたっていなかった。
要するには事態が急すぎた。
皆、戸惑っている。
けれどそんな教室中の反応を気にしないマイペースな担任は、扉の向こうの誰かを呼ばう。
「入ってきて」
すると廊下に待機していた編入生は教室の中へと踏み込んできた。
入ってきたその姿を目にして
「……!!!」
パカッと口が開いた。
顎が外れ落ちるかと思った。驚愕のあまり。
――オレンジだ。
ラッキーアイテムのオレンジ…。
それは災厄のオレンジ色だった。