Fortunate Link―ツキの守り手―


やっぱり目的はアカツキなのだろうか…。


……いや。
「違う」と内心で首を振る。

今の攻撃の狙いは明らかに俺だった。

しかしナゼ俺を…?


妙に冷静に頭を働かせつつ、体は敵に応戦すべく動く。

懐をまさぐりつつ…

「………」

……あれ?

何も持ってない。


一応学校にもこっそり武器は持ち込んでいるが、校内で襲われることは無いと踏んでいたし。
木刀とか暗器とか全て教室の鞄の中…。


冷や汗が背中にだらだらと流れる。

流れすぎて冷たく感じるほど。


「…やっべ」


今の俺って丸腰じゃん。

思わず手元を見る。

まだ食ってないカレーパンしか持ってねぇぞ。

どーすんだ、マジで。

これでどうやって立ち回れと…。


目の前を見ると、敵はヒュンヒュンと分銅を振り回している。

ヤル気満々だ。


こっちは絶体絶命のピンチだと言うのに。

『ピンチをチャンスに変えろ』という名言が頭に浮かんだが、浮かんだだけでどうしようもなかった。

せめて教室に一度戻らせてほしい。

そして――
男たるもの正々堂々と勝負を…


…と思っていたら、無情にも鎖鎌の分銅がこちら目掛けて飛んできた。

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