Fortunate Link―ツキの守り手―


「……くそ」

逃げながら、しかしそこで視界に入ってくる姿があった。

アカツキだ。敵にオ○ナミンCのビンを投げつけた。そんな物まで買い込んでいたのか。

ガシャ――ンとガラスの粉砕する音が響く。

相手はそれを鎌の柄で弾いていた。


その思わぬ横槍に、

「…何してんだ!バカ!」

怒鳴る。

するとアカツキは目を吊り上らせ、ギンッと睨んできた。
こぇ~っ。

「バカはおめぇだ!こんな変な奴に狙われやがって!日頃の行いが悪いからだ!」

「馬鹿言うな!お前よりは悪くない!」

それを抜きにしても敵の狙いが俺だというのはやはりよく分からない。

一体何故…

と考えようとしていたら、分銅がこちら目掛けて飛んでくる。
まっすぐ俺の方に…と思えば途中からその軌道が曲がった。

分銅はアカツキの方に回り込もうとしている。

何を思ったか、敵は俺からアカツキに狙い相手を変えやがった。

奴の意図が分からない。


「チッ」

こっちはそれを弾き返す武器も何も持っていない。

俺は前へ駆け出し、分銅を避けつつ自らの腕を差し出して鎖に引っ掛けた。


分銅はグイッとその軌道を曲げ、腕の周りをぐるりと回った。

と共に、鎖が巻き付いていく。

完全に片腕を絡め取られてしまった。

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