Fortunate Link―ツキの守り手―
*
(…やはりアカツキは取り扱い危険な猛獣だ)
――そう再確認した日の翌朝。
「シュン!」
玄関から母さんの呼ぶ声。
うるさいなぁと思いつつ、グビグビ牛乳を飲んでいた。
「アカツキちゃんが来てるわよ」
「……ぶほっ」
鼻から牛乳とまでいかなかったが、見事にむせた。
アカツキと朝一緒に登校なんてしたことが無い。
鞄を担いで、慌てて玄関の前へと飛び出る。
そこにはいつもと同じ極悪な面構えのアカツキ。(朝だからとか関係ない)
「今、物凄く失礼な事思ったろ?」
アカツキが言う。
…何で分かった?エスパーか?
「どうして…」
「どうしてもクソもあるか」
彼女の目が剣呑に光る。
…どーしよ。今から締め上げられるのか?
けれど予想に反して、アカツキはこんなことを言った。
「守るって言ったろ?」
「…へ?」
思わず間抜けに訊き返してしまう。
「あれだけの大口叩いたんだ。
今日から一分の隙無く守って貰うからな」
強引に引っ張っていかれる。
「ちょっ」
横目でちらりと彼女の方を見ると、
なぜか子供のような悪戯げで楽しげな瞳をしていて。
不覚にもドキリとしてしまった。
……って、それよりも
「…痛い痛い!腕離せっ!」
抗議の声も空しく、ずりずりと引き摺っていかれる。
目に映る空は憎々しいほどに青く、俺達を笑うかのように見下ろしている。
一日の始まりを告げる風が肩越しに擦り抜けていった。
何やら波乱な毎日が始まりそうな予感とともに。
☆::::第2話へ続く:::::☆