Fortunate Link―ツキの守り手―
「…くっ」
毒づきながら前方を見た。
ニッと口元に笑みを浮かべる敵の表情を見て、その思惑を知った。
狙いを変えたのは、俺がアカツキを庇うと分かっていたからだ。
俺はアカツキの守り手だから…。
「ふふふ。
あの船の上で爆弾を吹き飛ばしてくれたように、素晴らしい力をまた見せてくださいよ。
じゃないと、あなたのその腕、刈っちゃいますよ?」
黒装束の相手は愉悦に声を震わせながら、鎖を力いっぱいに引っ張る。
ギシギシギシッ…
絡みついた鎖が腕にきつく食い込む。
鋭い痺れが指の先から肩にかけて走った。
何とか踏ん張るものの、ずずず…と体ごと敵のほうに引きずられていく。
腕がもげそうだ。
「……う…くっ…」
…このままだとヤバイ。
「シュンッ」
背後からの声。
来るなと心中で叫ぶ。
しかし背後の暴れん坊女は止まらない。
「いい加減にしやがれ!この鎌野郎!」
アカツキは叫びながら、ペットボトルを敵にぶん投げていた。
って言うかどんだけ買い込んでんだ。飲み物ばっかり。
相手は平然とそれを鎌で受けた。
だがその一瞬だけに出来た隙を逃さなかった。
俺はダッと敵のほう目掛けて駆け出した。