Fortunate Link―ツキの守り手―
第9話:守るべきもの
*
……………。
まるで時が止まったような空白の時間があった。
「…し…」
そしてやっと声を漏らす。
「……死ぬかと思ったぁ…」
肺の底に溜まった息を深々と吐き出す。
新鮮な空気を肺に送り込みつつ、生を実感。
摩訶不思議なことにどうやら自分は生きているらしい。
内臓がひっくり返るような浮遊感を味わったが、
何故か落下は止まっているし、地面に激突してもいない。
途中で何かにぶつかったり引っ掛かったりしたような感触はあったが…
…一体どういうわけか?
疑問に思いつつ、首を巡らす。
ギシッと頭上で何かが傾く音。
両足が宙ぶらりんだ。
絶叫マシーンに乗っているわけじゃ無いよな、と訝しみつつ状況を確認。
「……うへぇぇ…」
声が裏返った。
信じられない光景が眼下に広がっていた。