Fortunate Link―ツキの守り手―
後手に回ってはいけない。
先ほどの経験から学んだことだ。
迷いなく心に決める。
――こっちから仕掛ける。
敵の方に向かって駆け出した。
鎌が飛んでくる。
が、屈んで避けた。
そのバネのように縮んだ体を生かして、一足飛びで敵の目前へと接近する。
相手は鎖を振るい、分銅を投げてきた。
腕か首か胴か…絡めてくる気だ。
同時にこっちはモップの柄を床に突き立てる。
棒高跳びの要領で、それを支えに体を宙に持ち上げた。
こっちへと囲ってくる鎖の渦の中を体が上方へとすり抜けていく。
柄の上で宙返りしたところで、ビシビシッと柄に鎖が巻きついていた。
「…何?!」
驚いた敵の声が響く。
ふふふ見たか。これぞウルトラCだ。
着地する重力を生かして奴の頭目掛けて踵落とし。
だがそれは避けられた。ちっ。
後退する敵に向かって、くるりとモップを半回転させ振り下ろす。
肩にぶちあたり、相手は数メートルほど吹っ飛んだ。