Fortunate Link―ツキの守り手―

白磁の頬、濃い睫毛に縁取られた円らな目、細くともすっきり通った鼻梁、薄く小さな桃色の唇。

その顔の造作はまさしく…、

「……白石さん…?」

見た目は彼女そっくりなのだが、しかし雰囲気が全然異なった。
眼差しはどことなく鋭利だし、可愛いと言うより美人という言葉が似合いそうだし、眼前の彼女のほうが髪も長い。

「……ふっ」

彼女は笑みを漏らした。


「残念ながら星羅じゃありません。
私は白石星羅の姉、水波雅(ミツハミヤビ)です」


「……姉…?」

俺はつい訊き返してしまった。

確かに似てはいるが…、何かがどうも違う気がするのだ。


「名字が違うのは、星羅のほうが養女として白石家に入ったからです」

俺の反応をどう受け取ったのか、水波雅と名乗る彼女はそう説明した。

俺はまじまじと相手を観察した。
果たしてこの隣に白石さんが居たとして、姉妹と思えるかどうか…。

「信じられないという顔をしてますね」

俺の心の内を読んだように彼女は言った。

「何を信じるかはあなたの自由です。
でもあなたはすでに真実を知っているはずです」

そう言うと彼女は後ろへすっと下がり、屋上の塀の上にひょいっと飛び乗った。


「また逢いましょう」


そう言うと塀の向こうの何もない後方へと飛び、下へと落下して姿を消した。

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