Fortunate Link―ツキの守り手―


アカツキに引き摺られながらも共に登校したその日。

朝からばったりと
昇降口でクラスメイトのお気楽馬鹿と出くわした。


「お前ら…」


サトシは一緒に登校してきた俺達二人を見て、天変地異を目の当たりにしたかのように硬直。

そしてこっちを指差したまま、

「…そういう仲だったっけ?」

勘違い発言を投下。


「何だ?文句あんのか?」

ぎろりとアカツキがサトシの方を睨む。

いや。
恐らく本人は普通に見ただけだろうが、その目つきの悪さが災いしていた。

「いえ、ございません」

即座にぶるぶると首を振るサトシ。

お気楽のわりに適切な判断だ。

それからサトシは何か納得したように頷き、

「まぁ、そうだよな。
何だかんだで幼馴染だもんな」

俺の方を見てニヤニヤ。

またもや勝手な勘違いをしていると見た。

それはいいとしても、その目に憐れみがこもっているのが気に入らない。潰すぞ。


…とか何とか思っていたその時。

首筋にチリッと焼きつくような感触を覚えた。

「……っ?!」

違和感に、はっと振り返った。

そこには、入り口から次々と校内へ入ってくる生徒達。

いつもと変わらない、何の変哲も無い登校風景。

眼を凝らせど怪しいところは微塵も見当たらず…

首を傾げた。


――…尋常じゃない視線を感じたんだけど。


深く沈みかけたその思考は
しかし

襟首を強く引っ張られ
首が「ぐぇっ」となった事で中断された。


「ぼけっとすんな。さっさと教室行くぞ」

その無情な凶暴女の手によって…。

< 23 / 573 >

この作品をシェア

pagetop