Fortunate Link―ツキの守り手―
その日の午前中はいつもと変わらず過ぎていった。
いつもと変わらず睡眠学習のような授業を受け、
いつもと変わらず休み時間にはサトシがグダグダとくだらない事を喋ってきて、
アカツキもいつもと変わらずクラスの女子達に囲まれていた。
……なのに、
その昼休み、
「メシ食いに行くぞ」
アカツキがいきなりそう誘ってきた時には、冷や水をかぶせられたように驚いた。
「……何で?」
思わずそう訊き返してしまうほどに。
するとアカツキの視線が一瞬で鋭くなった。
「お前、昨日、この私を守るって大口叩いたばかりだろ」
低い声で言ってくる。
「いや、あれは…」
と言いかけて、
刃物のように光った奴の視線に危険を察し、言葉は尻すぼみに消えた。
「…お供させて頂きます」
敏感に働いてしまう危機回避本能が情けない。
捕食者には跪くしかないのだ。
サトシは何か面白いものを見る目で俺達を見送った。
どうせまた余計な勘違いをしているだろうから、後々その誤解を解かねばなるまい。
めんどいな…と頭の片隅で思いつつ。
アカツキに教室から連れ出された。