Fortunate Link―ツキの守り手―
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それはとある週末の日曜の夜のこと。
「シュンくーん、今日はヒマだねー」
某所、某ファミリーレストランにて。
只今バイト中であった。
ちなみに働き始めたのは最近。
理由は、母さんが仕事の都合で海外に行っており、生活費をしばらく入れてもらえないというやんごとなき事情によるものだった。しかもそのすべて事後報告。
「そうですねー」
料理を出す窓口を挟んで、ホールで働く梶原さんという女の人がダラダラと話し掛けてくる。ちなみにこの人は大学生らしい。
昨日の夜はそれなりに忙しかったけれど。
案外、日曜の晩というのは客が少なかったりする。
次の日から仕事や学校が始まるし、という単純な理由からだろうけど。
「シュン君さー、誰か付き合ってるコとか居るのー?」
鼻に掛かった甘ったるい間延びした声で、いきなりそんな事を訊いてきた。
「……え」
台を拭いてた手が止まる。
その様子を見て、梶原さんはカラカラと笑い始めた。
「あははは。居るよねー。居るって顔に書いてるもーん」
「いやいや。い…居ないですよ」
苦笑いしつつ答える。
「ほんとー?嘘だよねー。嘘って顔に書いてあるー」
「………」
本当だってば。
それなのに何で俺はこんなに動揺してるんだろ…。
「明日さー、サークルのコンパがあるんだー。シュン君も来ないー?」
「無理ですって」
明日は勿論学校。
「真面目だなぁー」
「………」
……普通だと思います。
大学生ってそんなにヒマなの?
「それにサークルって…俺と関係無いじゃないっすか」
「んー。じゃあ、私の弟ってコトで紹介するからー」
梶原さんはニマニマ楽しそうに笑いながら窓口に両肘を付いてこちらを見てくる。
その時、呼び出しベルの音が鳴った。
「あっ行かなきゃ」
そそくさとその場から出て行った。