Fortunate Link―ツキの守り手―


テーブルの上には山盛りポテトが、でんと乗っていた。


向かいにはアカツキが座っている。

俺はテーブルを挟んでその前の席に座っていた。


「ごゆっくりー」

意味ありげに笑いながら、梶原さんがウーロン茶を持ってきてくれた。

俺はちょっと非難めいた視線をそっちに向ける。

彼女に「えーえー。知ってる人なのー?」と興味津々に言われ、無理やり相席するよう勧められたのだ。


取り合えずは皿に手を伸ばし、ケチャップを付けたポテトを頬張った。

…うーむ。
何で俺は今ここでポテトを食ってるんだ。

そして……

「…何でお前がここに居るんだ?」

目の前に居座る相手に一番の疑問点を投げかけた。

「前にバイトの場所教えてくれたじゃねーか」

腕を組んだままアカツキは言う。
そういえば前に、バイトを始めたと言ったら、さっそく「どこだ?」と聞いてきた。

「まぁ確かに教えたけど」

でもあれは「教えた」じゃなく正しくは「吐かされた」だ。

「なのに来てみればお前の姿はねーし」

不服げに顔をしかめる。


一つ理由が分かった。

梶原さんをガン見していた理由…。

「…あのなぁ」

溜息をつきつつ告げる。

「俺は中のほうの仕事してんの」

つまんだポテトで奥を指す。

「んなの聞いてねぇー」

突っぱねてくる。

分かっていたけど。この反応…。


「んなこと訊いてこなかったじゃないか」

するとアカツキは眉間に皺を寄せた。

あれ?よく見れば今日はちゃんと眉毛がある。書いてんのか。

「ふんっ…地味なことやってんのな」

「悪かったな。地味で」

苛立ち混じりに返す。

…不本意だっつーの。

しかしまさかアカツキが本当にやって来るとは思ってなかった。かなり驚いた。


「ところでお前、何しに来たんだよ?」


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