Fortunate Link―ツキの守り手―



まばらな街灯だけが路面を薄ぼんやりと照らし出す夜道。

周りは暗闇に音を吸い取られたかのようにすごく静か。

大きな道を少しそれただけでこんなにも人気が無い。


そんな風景の中、アカツキとくっつかず離れず横に並んで歩く。
ゆっくりと歩を進めながら、最近はこうやって一緒に居ることが日常となりつつあるよなぁと気づく。


「お前さぁ」

ファミレスを出た後から何故か言葉少なな隣に声を掛ける。

「こんな遅い時間帯に一人で出歩いたりすんなよな」

「うっせぇーなぁ」

一蹴される。

反抗期だな。まぁこいつはいつでも反抗期だが。

「危ないだろーが」

「そんじょそこらの奴らには負けねぇよ」

自信ありげに言う。

そりゃ分かってるけど…。

「ところでさ」

アカツキがふと気づいたように言う。

「これ、家にまっすぐ帰る道じゃないよな?」

「ああ。スーパーに寄って晩飯買って帰る」

この先の歩道橋を渡った先に大型スーパーがある。確か夜11時まで開いてる筈。

本当はコンビニに寄って弁当でも買ってさっさと帰りたいところだが…。

最近はちゃんと節約を考えるようになり自炊も多くなった。
とえらそうに言ってみても大したものは作れない。


「……ふーん」

すんなり納得したかと思えば、

「じゃあ私の分も作れ」

当たり前のように命令してきた。何だかすごくエラそー。

「まぁいいけど…」

一人分も二人分もそう変わらない。買い物に付き合って貰う事になるし…。

「じゃあ俺ん家に来るのか」

「行く」

これまた当たり前のようにはっきりと頷いた。

< 291 / 573 >

この作品をシェア

pagetop