Fortunate Link―ツキの守り手―
息を呑み、次の瞬間に見舞われるだろう斬撃に備えて身を固める。
その全てを受け止める覚悟で。
目をそらさずに…。
――だが。
その目前で新たな白刃が閃いた。
ふわりとその場に降り立った人影が前方を遮る。
――ビシビシビシッ…
人影がかざしたその刀身に鎖が巻きつく。
襲うはずだった攻撃はそれによって食い止められる。
「……何っ?」「……なっ」
突然のできごとに驚く俺と敵をよそに、
「――飛んで火に入る何とやらっ」
歌うように弾んだ声が響く。
淡い街灯の光を受けて平均的な若い女の子のシルエットが前に浮かび上がる。
「飛んでくる刃の前に身をさらすなんて無茶なことをしますね」
それは聞き覚えのある声。
その影は鎖で絡め取られた小太刀を中段に構えたまま、
「…あんまりアカツキさんを心配させちゃあいけませんよ?」
悠々と背後の俺に向かって話しかけてくる。
「あ、あんたは…」
驚きに引き攣った喉から何とか言葉をしぼり出す。
(こ、この声は…)
すでに胸の内に予感はあった。が、それでも聞いてしまう。
「あ、どーも。先日ぶりです」
底抜けに脳天気な声が弾けた。