Fortunate Link―ツキの守り手―


どうやらこちらから話し掛けなければいけない空気のようだ。


「あの…」

と言いかけて、まず初対面の相手に何を言えばいいんだろう?と詰まった。

とりあえずは自己紹介だろうか?

「俺、1年D組の守谷俊って言うんだけど、
ちょっと訊きたいことがあって…」

「あ、私は1年A組の白石星羅(シライシ セイラ)って言います」

女子生徒はぺこりとお辞儀して名乗った。

ふむ。同学年か…。

それにしても星羅って…最近は日本人離れした名前が多いものだ。


「…それで、訊きたい事って何ですか?」

ありがたくも彼女の方から振ってくれた。

「…ああ」

俺はその白石さんとやらに核心について尋ねる事にした。

「朝からずっとアカツキの方ばかり見てたみたいだけど、何かあるのかなぁ~と気になって…」

出来るだけやんわりとした口調で訊いてみる。

しかし白石さんの方は過敏に反応した。

肩がギクリと震えたのだ。
…分かり易すぎだって。

「………」

彼女は俯き、何と答えようか迷うように手の中のサイコロを弄ぶ。

「………」

長い沈黙の後。

いきなり、ぽんとそのサイコロを真上に放り投げた。

落下してくるそれを手の平でキャッチ。

出た目を覗き込んでいる。

その行為に何の意味があるのかは全く不明。


すると、彼女はようやく意を決したように口を開いた。


「月村さんの強運が本物であるかどうかを確かめてました」


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