Fortunate Link―ツキの守り手―
第12話:ドタバタな学園祭
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青。青。青。
首を巡らせてどこを見渡しても青。
一点の曇り無き青空が頭上に広がっていた。
太陽は四方に白い光線を伸ばし、眩すぎるほどに輝き放っている。
「晴れたなぁ~」
気持ちの良い笑みを浮かべて、オレンジ色の派手な頭の男子生徒――瀬川蓮は呟いた。
ゆっくりとした足取りで歩く。
そして【学園祭】という文字が書かれた巨大なアーチをくぐり、周りを見廻す。
居並ぶ模擬店、甘ったるい匂い、香ばしい匂い。
イベントを告げる、スピーカーからのアナウンス。
どこからともなく聞こえてくるブラスバンドの演奏。
笑い声、話し声、喚く声…。
校内も屋外も喧騒で溢れかえっている。
活気という活気で満ち満ちていた。
それらを物珍しそうに見歩く蓮。
彼にとっては『学園祭』というものを目の当たりにするのは初めてのことだった。
「…ええなぁ。こういうの」
思えば自分がこの歳の頃は海外の大学の研究室で缶詰めだったな、と振り返る。
そんな自分が、今、経験できなかった青春の只中にいる。
人生とはよぅ分からんもんやな、と心の内で苦笑した。
「今日は楽しまな、な」
学園祭というこの日まで、裏方の仕事に加わり、装飾やら設置やら…日曜大工のような事ばかりやっていた。
目立つ事も楽しいが、そういう仕事も嫌いじゃない。
協力し合って為し得る仕事は何事も和気藹々と楽しいものだ。
よってもう自分のやるべき事は終わり、今日はこのお祭りを楽しむのみ。
そう思いに耽りながら歩いていると、
「きゃっ」
隣を横切っていた女の子が押す台車。
その台車が何かに躓いたのかバランスを崩し、山のように積まれていたダンボールがガラガラと崩れ落ちた。