Fortunate Link―ツキの守り手―
「えーっと」
驚愕で外れかけそうになった顎を押さえ、我に返った。
視界に入れるだけで頭がキーンとしそうな氷山からは目をそらす。
「……もし食べきれなかったら?」
っていうか食べたくはないんですけど。
訊くと相手は笑顔のまま、
「その場合は3000円徴収いたします」
さらりと答えてくれた。
……ぼったくりだ。
聞いてた通りの店らしい。ここは。
しかもこっちが頼んでもないとんでもないメニューを出してきよった。
見れば、女の子は既に片手にストップウォッチを構えている。
「あ、あの…」
待て。ちょっと待って。まだ状況が飲み込めきれていない…。
笑みで固められたその顔は、やはり笑顔のまま俺を無視する。
「それでは今から時間計りますね!」
その声とともに、わっと再び店内が歓声に湧く。
だから待ってくれって。まだ全然心の準備がっ。
あれよあれよという間に状況だけが進んでいく。
「では行きまぁす。はいっ!スタート!!」
一方的に告げられる開始の合図。
湧きに湧く店内。
それらを見廻し、
「…………え」
……始まってしまったらしかった。