Fortunate Link―ツキの守り手―
白石さんの邸宅を出た後。
結局、昼食は俺が奢るハメになった。
場所は学園の傍を通る国道沿いのラーメン屋。
幸いにも価格は良心的。
量は保障できるが、味はまぁ普通という感じ。
アカツキは味噌。
俺はとんこつ、プラス特製チャーハン。
これだけで終わらず、まだ替え玉もいける。
前にも言ったとおり、俺の胃袋はでかいらしい。
大きくは無くても、ゴム並みに伸びるのかもしれない。
カウンター席の隣に座るアカツキに
気になっていたことを訊いてみた。
「お前さ、よく人ん家に無断であがってこれたな」
呆れた口調で。
けどこれは本音。
突然部屋に入ってきたアカツキの姿を見た時にはマジで驚いた。というかビビった。
頭が混乱するほどに。
「お前が知らん女に連れて行かれたって聞いて、何か無性に腹が立ったんでな」
アカツキはそう答え、ずるずるずると麺をすする。
腹が立ったら人ん家に乗り込むのか…。
突発的で衝動的すぎる。
まだ泥棒のほうがマシかもしれん。
いや、盗みはいけないけどね。
「結局お前も学校サボリじゃん。良かったのか?」
「別に構わねぇ。
放課後になったら戻る。部活があるからな」
授業はサボって良くても部活はそうではないらしい。
…優先順位のつけ方、絶対間違ってるよな。
「それまで時間あるからどっか行くか」
珍しく奴からそう誘ってきた。
堂々とサボる心積もりらしい。
「…お前と二人で、か?」
一体どこへ行こうと言うのか。
悪いけど、全然想像がつかない。
「何だ?そんなにイヤか?」
奴は「あぁん?」っと眉間に皺を寄せている。
まずい。危険だ。
こいつはどうしてだか俺の感情の変化に敏感すぎる。
いつも俺の思っていることが筒抜けなのだ。
「勿論、行かせて頂きますとも」
引き攣り笑いを作りながら、あ~ぁと思う。
いい加減この展開にも慣れなければいけないのかもしれない。
アカツキは俺の返事を聞いて、実に満足そうに笑った。
☆::::第3話へ続く:::::☆